第二次世界大戦が終結し、まがりなりにも主権を回復してから50年目の今日、平和への疑念と民主主義への懐疑が広がりをみせている。私たちは、戦後改革の遺産を忘れて時代の方向性を見失い、知の根拠地すら喪失し始めている。いったい「同時代としての歴史」から何を学び、何を継承すべきなのか。もう一度、その原点にまで立ち返り、様々な角度から検討を加え、ともに語り合う意義は決して小さくない。
冷戦後の混沌やむことない21世紀の門出にあたって私たちは、戦後日本の歴史的研究を共通の基盤とする新たな知の集団を、ここに設立する。占領史研究の豊穣な成果を継承し、史資料に基づく実証性に執着しながら、世界史の文脈と比較の視座を重視して、専門分野を横断する総合的な同時代史の創造を目指す。また、国境の壁を越えて海外の研究者と手を携え、狭いアカデミズムの壁を取り払い、世代の壁を克服して、幅広く同時代史の構築に努める。
同時代史学会は、その志において、日本を主たる対象としつつも世界に向けて開かれ、専門性を尊重しつつも市民に向けて開かれ、過去を見据えつつも未来に向けて開かれていなければならない。むろん、それは容易なことではない。しかし、そうした絶え間ない試みのなかから、私たちは初めて、同時代史をともに学ぶ“知の交歓の場”を創出することができるであろう。