去る10月25日、政府は、特定秘密保護法案(以下、「法案」という。)を閣議決定した。このたび閣議決定された法案には下記のように多くの問題点が含まれており、十分な審議を尽くすことなく、今回の法案の採択を急ぐことには、歴史学の研究と教育に携わるものとして、重大な危惧の念を表明せざるを得ない。
2011年に施行された公文書管理法によって、行政文書や特定歴史公文書等の取扱いのルールが明確にされたにもかかわらず、今回の法案は各行政機関の長が恣意的に「特定秘密」の指定を行えるなど、公文書管理法の基本的な精神に反するものになっている。この法案が成立すれば、歴史的に重要な文書が行政機関によって恣意的に選別される可能性が高く、歴史学の研究と教育に多大の障害をもたらすことが懸念される。よって、特定秘密保護法が制定されることに対し、我々は強く反対する。
2013年10月30日
歴史学研究会委員長 久保亨
日本史研究会代表委員 藤井譲治
歴史科学協議会代表理事 糟谷憲一
歴史科学協議会代表理事 塚田孝
歴史教育者協議会代表理事 山田朗
同時代史学会代表 吉田裕
東京歴史科学研究会代表 中嶋久人
日本の戦争責任資料センター共同代表 荒井信一
国立歴史民俗博物館・前館長 宮地正人
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