日時:2004年12月5日(日曜日) 午前9時30分受付開始
場所:専修大学神田校舎7号館731教室
朝鮮半島における南北分断の歴史は半世紀を超え、大韓民国(韓国)と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、朝鮮戦争の休戦ラインに沿って、依然、対峙しつづけています。しかし、南北は、とりわけ2000年6月15日におこなわれた初の首脳会談以後、和解と協力をめざし、着実に歩み寄りをみせていることも事実です。韓国では、金大中政権が打ち出した外交基本政策である「包容(太陽)政策」が、盧武鉉政権にも引き継がれています。
韓国統一省の発表によれば、昨年1年間に、観光目的の旅行者以外で南から北を訪問した人数は1万5千人を上回り、北から南への訪問者は1千人を超えました。金剛山への韓国人旅行者数は、今年の5月までで既に累計65万人を超え、陸路で行く日帰り旅行も定期化されました。離散家族についても、再会事業の定例化・制度化へむけて尽力されています。また、韓国は今や中国に次ぐ北朝鮮の貿易相手国でもあり、開城では韓国の技術と資本によって工業団地の建設が進められています。南北関係は、米朝関係や「脱北者」問題等によって停滞することもあるとはいえ、民間交流と経済協力事業を推進する動きは、一貫して続いています。
他方、日本では、とりわけ2002年以降、朝鮮半島に対する認識は、サッカー・ワールドカップ共催や「冬のソナタ」ブームに代表される韓国観と、いわゆる拉致問題や核開発問題抜きにはイメージしがたい北朝鮮観というように、南北を統一的にではなく、それぞれを二分法的に捉える動きが一段と加速されているように思えます。「民族」をキーワードに南北交流をめざす動きは、日本のメディアでも学界でも、しばしば無視されがちであり、また、韓国で今年制定された「親日・反民族行為真相糾明特別法」をめぐる議論に対しても、その歴史的意味を戦後の冷戦構造もふまえて理解するというよりは、今なぜ「反日法」の制定か? と過敏に警戒する側面が大きいように思われます。
南北交流の進展や韓国内における歴史清算の動きは、日本の朝鮮認識の歪みを逆に照らし出す光源といえるかもしれません。戦後日本は、冷戦が進行するなかで、植民地支配の清算の課題を不問に付し、その朝鮮観の底流には、植民地時代に根拠をもつ「差別」意識を再生産させてきましたが、最近の日本における韓国文化の大衆化は、こうした歴史に起因する問題を払拭し、東アジアにおける民衆の相互理解の深化や平和の構築に、大きな意味ではつながっていくものなのでしょうか。
そこで、今年度の大会は、現在、朝鮮半島で展開している事象について、あらためて、その歴史的意味を検証しながら、日本と南北朝鮮の関係の今後について共に議論すべく、「朝鮮半島と日本の同時代史 -東アジア地域共生を展望して-」と設定しました。
午前の部では、朝鮮戦争と日本、日韓国交正常化に関し、若手研究者による個別研究発表を通して考えます。崔徳孝氏には、朝鮮戦争への在日韓国人の参戦問題について、また、吉澤文寿氏には、日韓条約締結をめぐる問題について、ご報告いただきます。
午後の部はパネルディスカッション形式で、今日の南北交流、日本における朝鮮半島認識と朝鮮半島における日本認識の推移、「東アジア共同体」への展望などについて総合的に議論していく予定です。パネリストとして、石坂浩一氏(韓国社会研究、日韓・日朝関係史)、鄭章淵氏(東アジア地域経済研究)、林哲氏(国際関係学、東アジア近現代史)に問題提起および議論をしていただくほか、韓国から、韓国・外交安保研究院や国家情報院での職も歴任された、徐東晩氏(政治学、北朝鮮研究・統一研究)をお招きし、議論に参加していただきます。
午前・午後を通し、フロアーを含めて、活発な討論の場となることを期待しておりますので、どうぞふるってご参集ください。
(文責 小林 知子)
09:30 | 受付開始 |
10:00 | 開会の辞 同時代史学会代表 安田 常雄 (国立歴史民俗博物館) |
10:10 | 午前の部 <個別研究報告> 司会 宮崎 章 (筑波大学附属駒場中・高等学校)
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11:30 | コメント 木畑 洋一 (東京大学) 韓 載香 (東京大学) |
11:50 | 討論 |
12:30 | 午前の部終了 |
13:30 | 総会 |
14:30 | 午後の部 <パネルディスカッション> 司会 出水 薫 (九州大学) *パネリストからの問題提起(各20分)の後、議論をおこないます
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17:30 | 閉会 |
専修大学神田校舎7号館731教室 (東京都千代田区神田神保町3-8)
(専修大学ホームページ http://www.acc.senshu-u.ac.jp/koho/campus/index06a.html を参照)